そもそも地層って何?風化・侵食・堆積
実は初めての理科の授業を進めていくにあたって、この単元に入ったのが2月でした。つまり授業時数が大幅に足りない状態でカリキュラムを終えなければならないことに気づき、慌てて作った授業の思い出が懐かしいです。全ての内容をゆっくり説明することが難しいのでパワーポイントを使って授業の資料を徹夜で作成したことを覚えています。約20年前の出来事ですのでデジカメもなければUSBフラッシュメモリもありません。フロッピーではデータが入らないのでMOを使っていました(知ってますか?)。ちなみにパソコンを使って授業をやる先生もほとんど皆無でしたので、誰も頼ることができませんでした。しかし、人間というのは不思議なもので本当に必死になったときには様々な情報を駆使して対応し、自分のスキルアップにつなげています。このプリントもパワーポイントの資料もスキャナーで画像データを読み込み、それを活用しながら作っていました。今となっては極々当たり前の技術ですが、当時こういう作業できる人は身近にほとんどいなかったので、なんだか自分がすごい有能な人物になってるような気がしました。
世界遺産にもなっているオーストラリアのエアーズロックを題材にして「この岩がどうやってできたか?」という問いから始まる授業です。内容は全然たいした事なかったのですが、当時この授業をPowerPointでテンポよく教えていくことができ、生徒たちも楽しく集中してプリントの穴埋めをしたように思います。正直、ただの一斉授業の展開で何の発展もなかったのですが、必要最低限の知識をとにかく教え込んでいくという意味では悪くなかったかなと思います。当時の状況からすると、とても革新的な授業でした。
地層の広がりについては今では寒天やゼラチンを使った疑似ボーリング調査の実験もあったりしますが、このときは特に何もやっていません。もう少し工夫をして授業をすればよかったなぁと思います。
堆積岩の観察は理科準備室に眠っている岩石標本を全て取り出して仕分けして、生徒たちに見られるようにした事は初任当時にしてはがんばったと思います。今ではごく当たり前のことですが、自分で習った記憶もないもの(本当は習っているかも…)を教える立場になると準備することの大切さ、大変さを実感したものです。しかし、ここに書いてあるものはすべて指導書に書いてある内容でしたので、本当に最低限の準備なのではないかと思います。
生徒実験で石灰岩に塩酸を垂らして二酸化炭素が発生する実験でもとても喜んでくれます。少し前に化学分野でやった二酸化炭素の発生の方法と同じなのにすっかり忘れている生徒がいたのがショックでしたが、「一回教えたから知っていて当然」と思うのではなく、常に体験をさせ続けて、記憶の上書き保存を続けていきたいと思いました。
チャートが火打石に使われていたことや石灰岩が変性した大理石が様々な建築物に使われていること、砂岩・礫岩・泥岩の密度の違い、凝灰岩の軽さ、全て実際に岩石標本があるとなしでは理解度が全く違うと思います。文字情報だけでは感動が伝わりません。
最後に化石の話をするのですが、これもやはり標本があったほうがいいと思います。結構理科準備室や石の標本のコーナーの奥に大量にバラバラになって保存されていることが多いのでそれらも全て出してあげましょう。あまり高価なものでなければ手に触れられるような形で展示をするといいと思います。実際に見て触って感じることが大切だと思います。理科好きの子は自分で化石を買ったりもしていますので、それを持ってきてもらっても良いでしょう。
ちなみに化石での私のオススメは科学館や博物館の標本を借りることです。学校で買えない貴重なものを送料のみで貸してくれることがほとんどですのでぜひ「化石標本 貸出」などで検索して本物を見せることのできる方法を考えてください。本物が語る説得力に勝るものはありません。
魅力的な授業を作るためにはやはり本物が必要だと思います。私が昔、おちいりそうになった「視聴覚教材をとにかく見せまくる授業」「すべてPowerPointで行う授業」等の小手先のテクニックを目指すのではなく、自然を感じることを第一優先にした授業の形を追求していきましょう。