電気の正体を見てみよう!
~ネオンランプ・誘導コイル・クルックス管・プラズマボール~
この授業のオープニングでは私の頭の中にMr.マリックのテーマが流れています。今回の授業は暗幕のある部屋で行うことにしています。ちょっといつもと違う雰囲気の中でイリュージョンショーみたいな授業がしたいです。
授業開始のチャイムとともにいきなり暗転。真っ暗になったことに驚いた生徒たちの声を聞きながらミMr.マリックのテーマとともにプラズマボールをもっておもむろに登場。おのずと目線がプラズマボールのほうに向かいます。それでは授業開始です。そういう演出が必要ないと思われる方は、初めから教室を暗くしておき、安全なところにプラズマボールを置いておいてもいいかもしれません。自然に生徒がプラズマボールの周りに群がり、いろいろな探求活動を始めていることでしょう。
科学館や博物館に行くと大きなプラズマボールがあります。丸い球体の中にふわふわとしたピンクや紫のクラゲの触手のような電子ビームが興味を引きます。一見危険そうですが、なぜか触ってしまうという人間の本能に訴えかける魅力的な機械です。最近はUSBコンセントで使える小型のものもありますが、20cmから30cm位の大きめのものが1つあるだけで注目度は格段に上がります。amazon?楽天?ドンキ?何らかの形で購入してみてください。
この授業でやりたい事は電気の姿を肉眼で見てもらうことです。自然現象で電気を見る機会は雷と静電気の放電の様子ぐらいかと思います。ほんの一瞬の出来事ですので、それらを連続的に見ることのできる装置があるといいですね。(TVとかスマホの画面は電気?光?)ちなみに電球や蛍光灯はちょっと違うテイストになってしまいますので今回はパス。プラズマボールの真空放電や誘導コイルでは放電現象を見せていきたいです。その他にもクルックス管やクロス真空計があれば最高です。教科書の実験をそのまま見せていくだけでもショーみたいな環境を整えるだけで授業への食いつきが全く違います。一手間加えて魅力的な授業にしていきましょう。
プラズマボールから放出される電子を感じるための機械として、小型のネオンランプがあるとわかりやすいと思います。下敷きを髪の毛でこすってネオン管につけて発光させる実験がありますが、これもほんの一瞬です。プラズマボールならば連続的に光らせることができるのでオススメです。高校生の範囲かもしれませんが、「電場」についても触れることができます。プラズマボールから多少離れたところでも放出された電子をキャッチして発光してくれるのです。距離によって明るさが違うことを発見する生徒も出てきます。ガラスを通り抜けるような見えないぐらい小さな電子の粒を感じ取って欲しいと思います。
次に誘導コイルです。男子の人気ナンバーワンかもしれません。先程の真空放電ではなく、普通の放電ですのでかなり高い電圧が必要です。本校の誘導コイルは約30,000ボルトと書いてありましたが、これはコンセントの100ボルトの300倍です。感電の可能性があるので、必ず教師の演示実験で行うようにしています。マジで非常に危険です。何かちょっとした手順のミスがあると、あっさり感電します。本当に危険なのでゴム手袋ぐらいは用意しておきましょう。恥ずかしながら私は年に1回位は感電してしまい、生徒を驚かせてしまいますので、今でもダチョウ倶楽部のようにビクビクしながらやっています。つまみをひねって電圧をどんどん大きくしたり、端子の距離を変えたり、端子の間にろ紙を挟んでみたり、スパークする雷の間に電子が飛んでいる様子をダイナミックに見せていきたいと思います。
最後にクルックス管です。これも本当によく考えられた装置で、電子の通り道が美しく見ることができます。テストによく出るようなプラスとマイナスの方向を覚えさせるだけではなく、そこで起きる現象を見せてください。十字の板の影とか、陰極線、電子線の曲がる様子、風車型のクルックス管がある場合についてはその運動の様子、電流の向きによってその運動方向が変わることなどを見させてください。教室での板書の文字情報の暗記ではなく、自分の目で見た現象を覚える事の定着率はかなり高いと思います。「あの実験すごかった」とか「きれいだった」とか、まず五感に伝えることができていれば、印象に残るのは当然のことです。電気の授業の導入はここに示した方法だけではなく、いろいろなネタがあると思います。私はMr.マリックや手品師ではありませんが、この分野では何かエレクトリカルショーみたいに「電気すげえ」と思わせるようなことがしたいものです。