軟体動物の観察①
~イカの観察と解剖~(2時間連続がおススメ)
新学習指導要領では2年から1年に移行
この実験は生物の授業のまとめとして行うのが望ましい。
イカそのものの観察で終わるのではなく、これまで学習した我々脊椎動物との比較をすることで、生物の多様性を感じることにもつながるはずである。また、そのための仕掛け(こちら側の準備)も大切である。最近はイカの不漁により、価格の上昇が気になるところではあるが、冷凍イカでも十分可能な実験なので、ぜひとも実施したい。
本時では、無脊椎動物を観察し、動物の中には背骨のないものもあり、からだのつくりの特徴に基づいて幾つかのなかまが存在することを、節足動物や軟体動物を中心に理解させるために以下のねらいを設定した。
・無脊椎動物の解剖・観察をとおして節足動物の昆虫・軟体動物のイカのからだのつくりを脊椎動物と比べさせること。
・観察記録に基づいて、それらの動物の特徴を見いだし、脊椎動物との相違点と共通点を考えさせること。
・解剖について身近な材料を使って、生徒の興味・関心を喚起させ、楽しく積極的に実験に取り組む姿勢を育てること。
授業の流れを以下に示します。詳しくは指導案を!
①イカの生活の様子を収録した映像資料を見せて、動きや生態を観察し、体の各機能についてイメージさせる。
②イカの解剖の手順を説明し、からだのしくみの観察をさせる。
③全体を観察させ、ろうとを見つける。
→ひれのある方が背面 ろうとのある方が腹面
→ろうとは水やスミなどを噴射する総排出口
④腕の本数を数え、腕をはさみで切りとり、吸盤も観察する。
→2本の長い触腕と吸盤にも注目
→切った腕は並べておく 触腕の長さに注目
→吸盤と角質環はルーペで観察可能
⑤口の中を観察し、上下顎板を取り出す。
→その形から「カラス・トンビ」という
⑥頭部を切り開き、眼球を取り出す。
→レンズで文字を拡大
⑦腹側を上にして外とう膜にはさみを入れ、先端まで切り開く。
→正中線から1㎝程ずらして切ること
⑧外とう膜のボタン(漏斗・外とう軟骨器)を見つける。
→ボタン(漏斗・外とう軟骨器)の着脱
⑨余分な膜を切り開き、内臓を露出させる。内臓の位置関係の観察をしてスケッチをする。
→胃や肝臓、えらと心臓の確認
⑩銀色に光った細長い袋の墨汁のうを見つける。
→イカスミの確認・直腸が並行している
⑪スポイトを口に深く突っ込み、しょうゆを注入し、しょうゆが食道を通過し胃を大きく膨らませる。
さらに注入し直腸を通し、肛門から排出させる。
→消化管のつながりの観察
⑫えら付近に過酸化水素水をかけて色の変化をみる。
→数分するとえら付近がうすい青色に変色する
⑬内臓を外とう膜から丁寧にはずす。
→背中の軟甲も取り出す
⑭班員で協力してかたづけをして、感想・考察のまとめをする。
なお、最近はアレルギーの問題にも気を配る必要がある。その他、さまざまな留意点もあり、後々面倒なことにならないように、実施に関しては万全の態勢で臨みたい。